誠、花は人を狂わせるといふが
その者緋色の着物の前をはだけ、
異国の言葉で歌をうたい
乳房露わに街道を練り歩いていた
町の者は誰しもが女のことを知っていたが
公然の秘め事というやツだ
その家の座敷牢からは月に一度、奇声が響き渡る
誰しもが口をつぐんでおったが
誰しもがその女を知っていた
桜が散り始める春の宵
年に一度だけその女は街道にまろび出て
そして風に乗り狂女の歌が響き渡る
その旋律はもの哀しく
露わな腿の内側の白さに
幾人もの男衆もまた狂わされる
舞い踊る花の白さに巻かれ
緋色の着物を脱ぎ捨てた女の
しかしあの女は泣いているのではないか
春の宵の幻
桜の根元の固い地面に
赤い風車が幾本も刺され立ってゐる
風車がくるくると回ると
白い花びらが地べたから踊り上がり
夜目にくるくると白い光を放った
誠、花は人を狂わせるといふが
しかし花には人の世の事情なぞは関係ない
花はただ咲き乱れたいから咲き乱れているのだ
春の嵐が来る
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桜は色っぽいですよね。
どうしてもこんなイメージです。
子どもの頃のことです、
私は近所の少し大きな公園に遊びに行きました。
桜の季節でした。たくさんの桜がそれは見事に咲き乱れていました。
すでに地面も真っ白に見えるほど花びらで埋め尽くされていました。
とても風の強い日でした。
一陣の突風が吹き荒れました。
枝の桜はもちろん地面の花びらも風に巻かれて舞い上がり、
あたりは一面一瞬花の渦になりました。
それは夢のような光景でした。
(行楽客が敷物を飛ばされて走り回っていましたが。)
あれから幾度春がやってきたのか。
花見のたびに、あのときと同じ現象が起こらないかと
私は待ち望んでいるのですが、いまだにあれほど
見事な花吹雪には再会することができません。
間断なく降りしきる桜吹雪の下にいるのが好きなのですが
あのときの花は足下から頭上に向けて舞い上がったのです。