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増殖するポロロッカ(とある場所より再録)
ポロロッカ

ポロロッカ、ポロロッカ、と鳴きながら
白い鳩たちは回り続ける。
次第に速度があがっていくようだ。
僕と女の人は、いつの間にか台風の目みたいな鳩の輪の中心にいて
もう回っていなかった。でも少しばかり途方に暮れている。

鳩たちは一羽一羽が見分けがつかないくらい速くなって
ただの白い輪にしか見えない。
それはどろどろに溶け合ってしまい、
今度はねっとりと速度を落としていく。
そしてとうとう止まった。
もちろん、できあがったのはトルコアイスだ。

僕と女の人は海底から蛸壺を拾ってくると、トルコアイスを入れていった。
実に17個もの蛸壺がトルコアイスで満杯になった。

僕らは16個の蛸壺を綺麗な輪にして並べると輪の中心に座った。
二人の間に残り一個の蛸壺を置いて、なかよく二人でトルコアイスを食べた。
とってもよく伸びて、本当においしいトルコアイスだった。

海は不思議なくらい静かになっていた。
澄んだ水の底から見上げる空は突き抜けるように青く明るく
水面に浮かんだ枯れ葉や流木が、キラリ、キラリと日の光にきらめいている。
水面近くにゆらりゆらりと透き通ったくらげたちがゆれていて、
これも光の加減で見えたり見えなくなったりした。

僕と女の人二人で蛸壺一個分のトルコアイスをすっかり平らげてしまった。
それで、すっかり眠くなってしまったので
僕は海底の白い砂に横たわった。
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by midnight_egg | 2007-10-08 00:19 | 散文
06・あの時私は若かった
03・びっくりした話より3マスすすむ

【06・あの時私は若かった】

あの時私は若かった。
何の苦労もなくやすやすと光合成することができた。

眉間に皺を寄せることなく箱の中身を当てられたし、
箱の中にきっちりと一週間収まっているのだってラクラクだった。
あなたがバン、と手を打ち鳴らせば軽々と膨張し、
風がなくったって自在にパラパラめくれたものだ。

蒸留したりされたり、いつだってたががはずれた酒樽みたいに
じゃれ合っていたっけ、私たち。
パイル地の繊維の輪をひとつひとつ
おろし金の歯にひとつひとつ
執拗に引っかけていくような恋だった。
一気に引っ張り上げてすべてのわっかを引きちぎってしまうような
そんなふたりだった。


いま 年老いて私に出来ることといったら
小指の指紋をくるくるとほどいてあなたを
蜘蛛のようにがんじらがらめに捉えることだけ。

いま 年老いたあなたにできることといったら
氷点下よりも低く視線を凍らせ
私の眉間を貫くことだけ。


もう一度 やすやすと太腿にあざを作ってみる。
もう一度 ここをほじくってアルミのたねを植えてもいいね。

tmp
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by midnight_egg | 2006-10-12 11:24 | 散文
コートの中ではのろまな亀をねらえ!
Life is Statisticで開催中、
第5回トラバでぼけましょうお題..にTB。




 トラバでぼけましょう2006・第5回お題

どうして涙が出るの?






コーチ、あたし、がんばります!
コーチさえ見ていてくだされば、あたし、あたし・・・。
この四角いフィールドの中で。
力一杯がんばれるんです!

ねえ、コーチ、どうか。
どうか見ていてくださいね、コーチ。

最初の頃はコーチのその鋭い眼光に見つめられると
それだけですくみあがってしまっていたあたしです。
・・・あの頃は本当に何もわかっていなかった。

でも、今はコーチ。
コーチが見ていてくだされば・・・あたし・・・あたし・・・。


さあ、しっかりとグリップを握りしめて。
(ああ、まるで掌に吸い付いてくるようです。)
ほら、コーチ。あたし苦手だったバックだって克服したんですよ。


ねえ、コーチ。あたしを、あたしだけを見ていてくださいますよね?

コーチ、
コーチにとってあたしは特別ですか?
言ってください、
どうかあたしのこと「おまえは特別だ」って。

お願いです、コーチ。
言ってください!

それだけであたし・・・自分の持てる以上の力を発揮できるような気がするんです。
だからコーチ。

お願いです。
言ってください!





















言って・・・。


コーチが今まで出会ってきた誰よりも、


誰よりもあたしが
ずっとずっと






締まりもよくて
気持ちイイって。

どうか、コーチ。


お願い、イッてください!

誰よりもイイって、言って、
そう言ってココ・・・に出してください・・・
あ・・・ん・・・お・・願い・・・。



「どうして? 並だが。(!) 出るの!?」




う・・・こ、コーチったら。ひどい・・・。
な、並だなんて・・・。

あ・・・で、でも・・・あたしも・・・もう・・・。

・・・あ・・・



あ、あ、

あー!












・・・どうして、



涙が出るの?



コーチの・・・バカ。



■□■□■□■【トラバでボケましょうテンプレ】■□■□■□■□■
【ルール】
 お題の記事に対してトラックバックしてボケて下さい。
 審査は1つのお題に対し30トラバつく、もしくはお題投稿から48時間後に
 お題を出した人が独断で判断しチャンピオン(大賞)を決めます。
 チャンピオンになった人は発表の記事にトラバして次のお題を投稿します。
 1つのお題に対しては1人1トラバ(1ネタ)、
 同一人物が複数のブログで1つのお題に同時参加するのは不可とします。
 企画終了条件は
 全10回終了後、もしくは企画者が終了宣言をした時です。
 参加条件は特にないのでじゃんじゃんトラバをしてボケまくって下さい。
 ※誰でも参加出来るようにこのテンプレを記事の最後にコピペして下さい。
 企画元 毎日が送りバント http://earll73.exblog.jp/
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みなさんもご同様だと思うのですが「アクセス解析」の「検索ワード」ってのはしかしナニですね。「エロいポケモン」とか「どろどろ ぬるぬる 胸」とか「ねっとりお絵かき」とか「エロ大会」とかそんな検索ワードで、期待に股間 胸膨らませてやってきた青少年たちに「期待はずれでごめん」と、なぜかそんな気持ちです。今回はそんな検索ワードにひっかかってしまいそうな言葉を避けまくってみました。
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by midnight_egg | 2006-05-12 06:31 | トラバでボケましょう
ぬぐう
ようやく家に帰ってきました。
相方はすでにベッドで眠っているようすです。むー。
疲れたよー、と口の中でつぶやき、よー、の語尾に合わせてベッドの足元にバッグをぽんと投げ出します。
続けてあたし自身もベッドにぽんと倒れ込んでしまいたいところなのですが
そこはグッとこらえまして。なんとかティッシュの箱に直行しました。
えらいえらい。まずはがんばったね、あたし。
ティッシュを一枚抜き取って唇をぬぐいます。すでにはげかけていたのでしょう。
ティッシュには弱々しいピンクの筋がかすれ気味に残っただけでした。

重力が、重たいよー。

でも駄目駄目。ベッドに触れてしまったら本当アウトですよお。
朝まで眠ってしまうに違いないです。夢すらも見ずにどろどろと。
あたし、またもやがんばりました。
まるで食べ終わったポテトチップスの袋の底から残りカスをかき集めるみたいにして
身体の底のほうにわずかに残ってる気力のカスをかき集めました。
かき集めた気力を全て使って、ロボットみたいにぎくしゃくした動作でベッドに背を向けます。
だって。とにかくメークだけは落とさなくちゃ。でしょ?
よたよたと洗面所まで行き、鏡の前に立ちます。

で。

鏡を見たあたしは唖然としてしまいました。


なぜかって、鏡の中のあたしには唇がなかったんです。
というか口自体がなかったの!
口がないクセに「ぽかんと」としかいいようがない
間の抜けた表情で鏡のこちら側のあたしを見つめている鏡の中のあたし。

あ・ぜん。

見間違いかな、と目をこすります。
するとなんと。
今度はこすった側の目(右目)が消えてしまいました。

(ぎゃあ!)

あたしは声にならない叫び声をあげました(心の中で)。
なんせ口がないものですから発声することはできなかったのです。

いったい全体何が起こっているのでしょう?



落ち着かなきゃ。



まずは落ち着くことです。
パニック起こしちゃ駄目駄目、駄目駄目。さあ、数を数えて。
いーち、にいー、さーん、しいー、ごー、ろーく、しーち、はーち、くー、じゅう。
・・・ふー。(深呼吸)
ええと。あたしは今、何をしようとしていたのでしたっけ?
そうそう。早く寝たいからとにかくその前にメークだけは落とそうと。

とにかくメーク落とし!
あたしはメーク落とし用のウェットティッシュを一枚抜き取ると頬を拭きました。
そしてもちろん、その行為は更なるパニックをまねきました。
当然の帰着って言ってもいいのかしら?
今度は鏡の中のあたしの顔から右頬が消えてしまっていました。

実はこう見えてあたし、気が短いところがあるんです。
右頬までも失ったことですっかり逆上してしまったあたしは、
次の瞬間、どうとでもなれという自暴自棄な気分になって
ウェット・ティッシュで顔全体をこすってしまったのです。
どうしてこう、こらえ性がないんでしょうか?
やるだけやってしまってから後悔しても遅すぎますよね。
顔のなくなったあたしって自分では見えないんだけど、
推理するに銀河鉄道999の車掌さんの顔のような具合になってるんでしょうか?
いやいや、車掌さんの場合は目が光ってるだけましかも。
あたしなんか目もないし、目も見えないんだよー?

あー、疲れてるのになんなの、もー!
この理不尽に対する怒りをどこにぶつけていいのやらわかりません。
ひとつだけいいことがあるしたら、
もはや肌荒れのことなんか気にしなくてもよくなったってことだけです。
そうよ、もうメーク落とさなくてもいいんじゃないの?
だったら寝よう。寝ちゃおう。寝てしまおう。
あたしは乱暴に服を脱ぎ捨てて下着だけになると、文字通り這ってベッドにたどり着きました。
(だって何にも見えないんですもの)
手探りで同居人のとなりに躯をすべりこませます。

オヤスミナサイ。



・・・と。
あー、もしもし?

あたし今日はすんごく疲れてるんだからやめてくれないかなあ?
同居人の手が私の胸の辺りをまさぐってくるんです。
あ、ダメ・・・とか思ったのはつかの間でした。
あたしの乳首から彼の指の感触がふっと消えました。

・・・でもたぶん、

彼がやめたわけではないのです。
彼の指に触れられたあたしの乳首のほうが、もしかして。



・・・!
やめてぇ。


抗議しようにも声が出せないあたし。
彼の指は今やあたしを押し広げようとしています。
そして、あ、ん、

        と、

   思う、

間もなく、

       あたしの・中

               から

     彼のゆび

          の

  気配が
         消
          え
           て


               そして


あたしの

      中に 広がっていく 虚空・・・



            ・・・彼は、殺人犯



などでは アリマセンよ・・・って、誰にも言ってあげられない・・・


        あたし・・・

                     もう、消えますね





          バイ。

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by midnight_egg | 2006-04-01 00:20 | 散文
特別な日
オアフ党にて、いよいよ2006年第2回TBボケが開催されました。まずはウォーミング・アップでございます。


第2回お題
『幸せな空気に満ち溢れた披露宴。
新郎・新婦の入場から、ずっと何事も無く進行していたのだが、
新郎の会社の同僚という男がスピーチのためマイクの前に
立った瞬間から、披露宴会場は誰もが予想できなかったほどの
大パニック状態に陥ってしまったのだった。
果たして何が起こったのか?』



「野比くん、 そしてしずかさん、今日は本当におめでとう。
 それでは不詳この私、剛田武が心を込めて歌います・・・」

■□■□■□■【トラバでボケましょう前座テンプレ】■□■□■□■□■
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 (以下略)

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 テンプレ改変 やみくもバナナメロン http://nightegg.exblog.jp/
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 というわけで前座でございましたー。今回の審査委員長ishionishinさんは「私はテレビをあまり見ないので、ドラマとか芸人さんについては一般的知識が欠如しています。」と明快におっしゃっていますし、既成のキャラクターで勝負するのは得策ではないですね。さー、では本番ガンガロウ!



第2回お題
『幸せな空気に満ち溢れた披露宴。
新郎・新婦の入場から、ずっと何事も無く進行していたのだが、
新郎の会社の同僚という男がスピーチのためマイクの前に
立った瞬間から、披露宴会場は誰もが予想できなかったほどの
大パニック状態に陥ってしまったのだった。
果たして何が起こったのか?』



 いよいよ次がNのスピーチね。Nが来るってのは招待客の打ち合わせのときからわかってたワケだし、あたしだってこれっしきのことで動揺したりはしないワケ。Nとユウくんは同じ課の上に同期だもんね。「呼ばないで」とかユウくんに言うわけにもいかないじゃん、スピーチ頼みたくないとかそんなことも言えるワケないじゃん、そんなこと言ったりしたらヘンに勘ぐられちゃうじゃん。今はとにかく目を合わせないようにしてればいいわけなのよ。にっこり笑って焦点はビミョーにずらしてマイクについてる花とか見てればいいわけなのよ。・・・つか、こらN! ジロジロこっち見てんじゃねえよ。アンタはユウくんの招待客なんだからユウくん見てしゃべってればいいのよ。ウケとか狙わなくてもいいんだよ、さっさと話し終わらせなよ。ちょ、ちょっとやめなよ。こっち見るな、って。なんかさあ、ベトベトした目つきで見られたくねえんだよ。なんつーの? 真夏の正午、アスファルトに貼り付いてる噛みたてのガムをビーチサンダルで踏んづけちゃった、みたいな不快さがあるのよ。つまりはしょって言えばキ・モ・イのよ、ちょーーーーーーーーキモイ。今日はこっちからガンつけ返すワケにもいかないんだからさあ。そりゃもう今日のあたしはあり得ないくらい綺麗よ、綺麗だけどさ、そりゃ生涯最高に綺麗な日なんだけどさ、そりゃ、そりゃもう当然なワケ。だって今日に照準合わせてエステ3ヶ月コース税込み17万8500円ナリにも通ったし、ドレスはもちろん桂由美の最高級ミカド・シルクで最高級ゴージャスだし、左手の薬指にはショーメとどっちにしようか迷いに迷って決めたヴァンクリーフ&アーペルズのアカント・エタニティだし、ネイルにつけた1/30カラットのダイヤは全部の指を合計すると30個で1カラットだし、朝なんかもう3:00起きだったワケ。白亜紀時代の地層から抽出した泥(金粉入り)で全身念入りにマッサージしてもらった上、ヘアもメイクも4時間以上かけて仕上げてもらってもう、もう最強決まってるワケ。今日が最高に今までで最高に綺麗でいられるようにもう、ハンパじゃなくて文字通り命賭けで迎えたワケなのよね、今日という日を。だって今日の主役ってあたしじゃん? 生涯に一度っきりのあたしが主役の日なわけじゃん? 結婚相手のユウくんでさえ今日は脇役に過ぎないわけじゃん? N、アンタなんかね、もうエキストラよ、エキストラ。レベルで言ったら通行人よりも格下よ、水たまりに棲むオケラみたいなもんよ、あたしオケラなんて見たことないけど、水たまりに棲んでるのかどうかも知らないけど。そのオケラ・クラスのあんたがあたしから目が離せなくなるのはそれは当然かもだけど、しょうがないかもだけど、なんかいやらしいのよ、その目つきが。絶対ヤらしいこと考えてるーって感じ? キモイんだってば。え? 何? 何? あり得なーい。ちょっとあり得なーい。アイツ、なんか股間に手ぇやってない? 超あり得ないよー、やだー。あたしの花嫁姿を見て欲情しちゃったってワケ? この純白のミカド・シルクの下でほんのり上気してる白い柔肌を妄想してるってわけ? あり得なーい。やだー、やめてよ。あいつ、もしかしてパンツおろした? もしかしてジャケットを脱いで(みんなが笑ってる)、うそ、ネクタイをはずして、ねばっこい視線をあたしにロックオンしたまま、Yシャツをはぎ取るように脱ぎ捨てて、一歩また一歩と近づいてくる。あたしはといえばまるでヘビに睨まれたカエルみたくアイツの股間から目がそらせなくなってて、あり得ないことに、ほんとにあり得ないことに舌の上にヤツの屹立したそれの感触が蘇ってくる(ああ、そういえば今日はクラッカーを1枚つまんだきりだった)、目の前に立ったNのむき出しの股間から視線をはずせなくなってる。ああ、そしてあり得ない、あたし自身の股間の内側からじんわりと熱いものが溢れ出してくる。あたしの視界のいっぱいを占めるヤツのそれが、あたしに突き刺されることを期待して? じんわりと頭の芯が痺れたようになっていったあたしは、視界の左側できらめいたものが見えなかった、そして。
 あたしの股間に突き刺されたものはヤツのそれではなくて、冷たく光る何かで、あたしは薄れて行く意識の最後の最後のかけらのその更に片隅で、桂由美のミカド・シルクがそれはそれは見事な真紅に染まっていくのがわかったの。そうか、これがあたしのお色直しなのね・・・これがあたしの




・・・本当の血痕式なのね




(暗転)




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 審査は1つのお題に対し30トラバつく、もしくはお題投稿から48時間後に
 お題を出した人が独断で判断しチャンピオン(大賞)を決めます。
 チャンピオンになった人は発表の記事にトラバして次のお題を投稿します。
 1つのお題に対しては1人1トラバ(1ネタ)、
 同一人物が複数のブログで1つのお題に同時参加するのは不可とします。

 企画終了条件は
 全10回終了後、もしくは企画者が終了宣言をした時です。

 参加条件は特にないのでじゃんじゃんトラバをしてボケまくって下さい。

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 企画元 毎日が送りバント http://earll73.exblog.jp/
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by midnight_egg | 2006-03-12 16:58 | トラバでボケましょう
僕とマグロとマグロと僕と
女プログラマさんのマグロ祭りだ、わしょーい!にTB。

(10月10日はマグロの日です)



<僕とマグロとマグロと僕と>

僕の住む街は川の街だ。
いつでも空を切り取るラインには
きりんの首が見える。
そんな街だ。

しとしとと霧のような雨が降っていた。
ぐしょぬれになるわけではないが
体にじっとりと沁み込み、気付けば指先がかじかんでいる。
そんな秋の雨だった。

その雨の中を左手に倉庫街(その向こうに川)
右手に首都高を見ながら傘のない僕がじっとりと歩いていたときだった。
冷え切ったマグロと僕が出会った。


小振りの赤身だった。
マグロは僕と目が合うと愛嬌たっぷりに
ピチピチと体をくねらせたのだった。


(このままでは倉庫街に巣くっている猫たちの餌食にされてしまう)


魔がさしたのかもしれない。
次の瞬間、僕はそのマグロを地面からすくい上げた。

(ピチピチ)

そう、あのピチピチを見たときにはすでに情が移っていたのだ。

僕とマグロはともにじっとりと濡れそぼりつつ
僕の家へと向かったのだ。


--------

今、水槽の中にはぐったりとしたマグロ。
やっぱりマグロは陸では生きられないのかもしれない。

それでも僕が水槽に近づくといつも
マグロは弱々しくもピチピチと体をゆすった。


つやのなくなった赤身。
もはや赤、とさえ呼べないような。
別れの日が遠くないことを僕はとうに悟っていたのに。


----------

船に乗ろう。
一緒に船に乗ろう。

僕はマグロを胸に抱えて念じ続けていた。
川へ向かって走りながら。

一緒に船に乗ろう。
一緒に川面を眺めよう。
海に出よう。
君が生まれた海に出よう。
そして、
そして。


川が見えてきた。
ねえ、川に着いたよ。
川に着いたよ。

----------


とうの昔に鮮度を失ったマグロを僕はむなしく抱きかかえたまま。
知っていたはずだ、

なのになぜ、君を拾ってしまったのだろう。


僕は倉庫街を後にした。
埠頭を離れ川に沿って歩く。

橋が見えてきた。


さようなら。
僕は君を川に放すつもりだよ。


僕は君を川へ。

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by midnight_egg | 2005-10-10 22:48 | 祭りだ祭りだ
第23976話・インスタントラーメン殺人事件
突然ですが【トラバでボケ清水賞】開催のお知らせ。に参加。


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コレは南海の孤島

コレは南海の孤島の中に建っている奇妙な館

コレは南海の孤島の中に建っている奇妙な館
同じ設計者が設計した雪の山荘

コレは南海の孤島の中に建っている奇妙な館
同じ設計者が設計した雪の山荘で起こった密室殺人事件

コレは南海の孤島の中に建っている奇妙な館
同じ設計者が設計した雪の山荘で起こった密室殺人事件
解決した名探偵

コレは南海の孤島の中に建っている奇妙な館
同じ設計者が設計した雪の山荘で起こった密室殺人事件
解決した名探偵が食べているチキンラーメン

コレは南海の孤島の中に建っている奇妙な館
同じ設計者が設計した雪の山荘で起こった密室殺人事件
解決した名探偵が食べているチキンラーメン
同じ会社が作っているカップヌードル

コレは南海の孤島の中に建っている奇妙な館
同じ設計者が設計した雪の山荘で起こった密室殺人事件
解決した名探偵が食べているチキンラーメン
同じ会社が作っているカップヌードル
やっぱり同じ会社が作っている出前一丁

コレは南海の孤島の中に建っている奇妙な館
同じ設計者が設計した雪の山荘で起こった密室殺人事件
解決した名探偵が食べているチキンラーメン
同じ会社が作っているカップヌードル
やっぱり同じ会社が作っている出前一丁とは
違う会社が作っているチャルメラ

コレは南海の孤島の中に建っている奇妙な館
同じ設計者が設計した雪の山荘で起こった密室殺人事件
解決した名探偵が食べているチキンラーメン
同じ会社が作っているカップヌードル
やっぱり同じ会社が作っている出前一丁とは
違う会社が作っているチャルメラ
またまた違うライバル会社が作っている本来は「サッポロ一番味噌ラーメン」であるところの表記が誤っている札幌一番味噌ラーメン

コレは南海の孤島の中に建っている奇妙な館
同じ設計者が設計した雪の山荘で起こった密室殺人事件
解決した名探偵が食べているチキンラーメン
同じ会社が作っているカップヌードル
やっぱり同じ会社が作っている出前一丁とは
違う会社が作っているチャルメラ
またまた違うライバル会社が作っている本来は「サッポロ一番味噌ラーメン」であるところの表記が誤っている札幌一番味噌ラーメンの中に浮かんでいる南海の孤島


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「・・・で、これが? 」

「決まっているじゃないかね、入江くん。奇妙な歌、または詩・・・とくれば」

「見立て殺人ですね、上清水先生」

「ほう。君もなかなかわかってきたようだね。新作の構想だよ」

「一つめの殺人が南海の孤島の中に建っている奇妙な館で起こるわけですね」

「そしてほぼ時を同じくして同じ設計者が設計した雪の山荘でも密室殺人事件が起こる」

「当然その設計者ってあの人ですよね・・・」

「当然だ。そして密室を解いたかに見えた名探偵が死んでしまう。
 推理をしながら食べていたチキンラーメンに毒が盛られていたのだ」

「・・・まあいいでしょう」

「このあたりで奇妙な館と山荘からそれぞれロゼッタストーンが発見され、
 つなげて解読すると冒頭の歌が出てくる」

「それロゼッタストーンじゃないですから。
 ・・・要するに暗号が刻まれた石版かなんかが発見される、と」

「画期的だろう?」

「いえ、まったく」

「入江君、君は私を誰だと思っているのだね? 私はね、上清水だよ?」

「それを世界中でもっとも苦々しく思っているのは私です」

「画期的になるのはここからだよ、入江君。今すぐ日清食品にオファーを取ってくれたまえ」

「何言ってるんです」

「わからないかね?
 この小説はインスタント・ラーメンのパッケージにプリントして配信するのだよ!
 推理小説と非常用食料の融合!
 これさえ携帯していればいついかなるときに
 南海の孤島に取り残されようと雪の山荘に閉じこめられようと安心だよ」

「そのアイデアが画期的かどうかの議論は置いておいてでもですね、上清水先生。
 登場するインスタント食品5つのうち3つは日清食品、あとは明星とサンヨー食品が一つずつ。
 ラインナップのツメが甘すぎます。
 しかも自社商品に毒を盛られる、なんて話をパッケージに刷る食品会社は世の中にありません」

「そうか・・・ラーメンはムリかね。なら仕方がない・・・」

「あきらめましたか?」

「ふむ・・・よし!」

「なんです?」

「入江君、素晴らしい代案を思いついたよ」

「やれやれ」

「ふふふ・・・このラインナップこそが暗号だった、というのはどうかね?

 ”日清日清日清”これをカギとする。日を清らかに、つまり日を三回取り除くという意味だ。
 サンヨーは”サン=sun”と”ヨー”に分解。”明・星・sun・ヨー”から日を三つ除くと
 残るのは”月・生・ヨー”これを並べ替えると”月ヨー生”となる。

 つまり犯人は月曜日に生まれた者だ、ということを暗示しているのだよ、そして・・・」

「そして?」

「そしてこの小説はロゼッタストーンに刻んで読者に配信を・・・」


上清水の脳天に入江のダイビングブレーンチョップがクリーンヒットした。

【トラバでボケ清水賞テンプレ】
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by midnight_egg | 2005-08-24 13:00 | 上清水賞参加作品
ポップアップ・ビーチ
ポップアートの海岸マグカップの明日にTB)

僕はクーラーボックスから

よく冷えたビールを二本取り出すと

ラベルの向きをきちんと揃えて白い塀の上に並べた。



それからリュックをあけて

ポップアップ・ビーチを取り出すと

よいしょ、と地面に押し広げたんだ。


僕の頭上に真っ青な空が広がって

真夏の太陽が照りつける。



白い砂も足の裏を焦がしてる。



僕は冷えたビールの缶を伝う

水の粒を人差し指でつー、とぬぐうと

プルトップをプシュッと開けた。



やっぱり夏はいいなあ。



一本目の缶ビールを、一気に飲み干した。



それから僕は、またリュックを開けて

今度は黒い犬を取り出した。



黄色いエア・ポンプで

シュコッシュコッと

空気を入れてすっかりふくらましてあげると

僕の犬は白い海岸を転がるように駆けだしたんだ。



僕はもう一缶ビールを開けると

口笛を吹いた。

でも犬は、僕のほうを見ようともしない。

波頭にキャンキャンと吠えついては

盛んに砂をほじくり返してる。


たぶん蟹かなんか見つけたんじゃないかな?

なんて思ってたら、犬の空気が抜けて

ぺちゃんこになっちゃった。


蟹だ、きっと。


僕は重い腰をあげると

ぺろんと地面に貼り付いた犬を拾い上げた。

砂をはらって、空気が抜けているところを

調べたけどよくわからない。

これは家に帰ってから補修しなくちゃだめだ。

僕はビールの残りを飲み干した。



それからポップアップ・ビーチを折り畳んだ。

海と白い砂浜と青い空が消えて

埃っぽい路地裏にたたずむ僕。



たたまれたポップアップ・ビーチは

折り目のところから裂けてきててだいぶくたびれかけている。

僕の夏もだいぶくたびれかけている。



犬と海岸をリュックにしまうと

僕は家路についたんだ。



書き割りじみた夕暮れの街を

ゆっくりゆっくりと



歩いて帰ったんだ。

えーっとね・・・(汗
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by midnight_egg | 2005-08-05 16:44 | 散文
ポモドーロ
ポモドーロ。

ポモドーロ、ポモドーロって
口の中で小さくつぶやいてみる。
舌の上で転がすように。
音がころんころんって舌の上を転がる。
ポモドーロ。


左足の親指の爪、真紅が少し剥げかけている。
やあねえ。
なんて思いながらまだつぶやいてるの。
ポモドーロ。


唇を湿らせて(口紅の味がした)。
またつぶやく。
ポモドーロ。


絶妙の語感だわ。


あたしは舌の上でじっくりと
ポ・モ・ドー・ロという音を転がして
じっくりとその語感を味わいながら・
足元に転がった・あなたの・潰れた頭をまたいで・

お台所へ向かったの。


グッバイ。
またね。



ポモドーロ。



-------------


アレな講評の応援記事にしようかと思って
だいぶ前に書いてた文。
ハズなんだけど今読むとどこが応援記事なの?
自分でもよくわからない。
アレのつもりで書いたんだろうかorz。

最初↓のポストにくっつけてみたんだけど、
やっぱりヘンなんで分けました。

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by midnight_egg | 2005-08-04 19:51 | 散文
溶ける
あんまりにも気持ちがよくて
もうとろけちゃいそうだと思っていたら、
彼があたしん中で溶け始めた。


中出しされたのかと思ったけど違ったみたい。
ほどなく中に入っていない部分の彼も溶け始めたから。

あたしの太股やお腹をなんだかなま温かいゼリー状のものが
ぬらりぬらりと伝い流れた。

ぎゅっとつぶっていた目を開けると
(あたしはいつもしてるときは目をつぶってるんだ)
彼がぐんにゃりと笑っているのが目に入った。
と、思ったけど違った。
彼の顔はぐんにゃりと笑ったまま
ぐにゃりと崩れ落ちた。

別に顔だけじゃなかった。
彼の全身がほぼ同時にぐんにゃりとゼリーみたいにやわらかくなって
それから自身の重さに耐えかねたようにつぶれ、
原型をなくしてどろどろと流れ始めた。

あたしは体中、どろどろぬるぬるして
中も外もぬるぬるで気持ちよくてもうどうしていいかわかんない
頭の芯がじんとなって意識がふわーんってしそうで、
キゼツしちゃいそうなくらい、キゼツするのって自分でわかるのかしら、
あー、もうジンジン、ジンジン、もうダメー、って思って。
(思っただけじゃなくて言ったかも、ダメーって。)

あー、イっちゃったー。
って思って。
それからじわーっと波が引くようにだんだん感覚が戻ってきて
それからちょっとじんじんしてきて
それでもしばらくぼんやりと余韻に浸っていた。


ぼんやりとずっと横になってると
人肌だったぬるぬるは次第に冷えてベトベトしてきて気持ち悪くなった。
体中とベッドがベトベトしたスライム状のものにまとわりつかれている。


シャワールームに向かいながら
あのベッドどーしたもんかなー、と思い悩んだ。
こんなことになるなんてわかっていたらホテルですればよかったんだけど。



あたしはシャワーで丹念に彼を洗い流した。



彼はどこに行っちゃったんだろうね?



彼もイったのかしら?

彼はいったのかしら?





ねえ、


彼はちゃんといったと思う?

inspired
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by midnight_egg | 2005-07-14 12:52 | 散文