カテゴリ:散文( 27 )
増殖するポロロッカ(とある場所より再録)
ポロロッカ

ポロロッカ、ポロロッカ、と鳴きながら
白い鳩たちは回り続ける。
次第に速度があがっていくようだ。
僕と女の人は、いつの間にか台風の目みたいな鳩の輪の中心にいて
もう回っていなかった。でも少しばかり途方に暮れている。

鳩たちは一羽一羽が見分けがつかないくらい速くなって
ただの白い輪にしか見えない。
それはどろどろに溶け合ってしまい、
今度はねっとりと速度を落としていく。
そしてとうとう止まった。
もちろん、できあがったのはトルコアイスだ。

僕と女の人は海底から蛸壺を拾ってくると、トルコアイスを入れていった。
実に17個もの蛸壺がトルコアイスで満杯になった。

僕らは16個の蛸壺を綺麗な輪にして並べると輪の中心に座った。
二人の間に残り一個の蛸壺を置いて、なかよく二人でトルコアイスを食べた。
とってもよく伸びて、本当においしいトルコアイスだった。

海は不思議なくらい静かになっていた。
澄んだ水の底から見上げる空は突き抜けるように青く明るく
水面に浮かんだ枯れ葉や流木が、キラリ、キラリと日の光にきらめいている。
水面近くにゆらりゆらりと透き通ったくらげたちがゆれていて、
これも光の加減で見えたり見えなくなったりした。

僕と女の人二人で蛸壺一個分のトルコアイスをすっかり平らげてしまった。
それで、すっかり眠くなってしまったので
僕は海底の白い砂に横たわった。
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by midnight_egg | 2007-10-08 00:19 | 散文
18.この国に行ってみたい
13.お酒の話より5マスすすむ


【18.この国に行ってみたい】

この国に行ってみたい
この醜い凍てついた
退屈煮込み 野にいて
痛みついでに肉の子
見て 憎い こいつの似た
鉄の子 民にいい国


…うーむ
この国にはあんまり行きたくない
ほんとはナルニアに行きたいです


このくににいつてみたい
このみにくいいてついた
たいくつにこみのにいて
いたみついてににくのこ
みてにくいこいつのにた
てつのこたみにいいくに


tmp
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by midnight_egg | 2006-12-04 01:54 | 散文
06・あの時私は若かった
03・びっくりした話より3マスすすむ

【06・あの時私は若かった】

あの時私は若かった。
何の苦労もなくやすやすと光合成することができた。

眉間に皺を寄せることなく箱の中身を当てられたし、
箱の中にきっちりと一週間収まっているのだってラクラクだった。
あなたがバン、と手を打ち鳴らせば軽々と膨張し、
風がなくったって自在にパラパラめくれたものだ。

蒸留したりされたり、いつだってたががはずれた酒樽みたいに
じゃれ合っていたっけ、私たち。
パイル地の繊維の輪をひとつひとつ
おろし金の歯にひとつひとつ
執拗に引っかけていくような恋だった。
一気に引っ張り上げてすべてのわっかを引きちぎってしまうような
そんなふたりだった。


いま 年老いて私に出来ることといったら
小指の指紋をくるくるとほどいてあなたを
蜘蛛のようにがんじらがらめに捉えることだけ。

いま 年老いたあなたにできることといったら
氷点下よりも低く視線を凍らせ
私の眉間を貫くことだけ。


もう一度 やすやすと太腿にあざを作ってみる。
もう一度 ここをほじくってアルミのたねを植えてもいいね。

tmp
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by midnight_egg | 2006-10-12 11:24 | 散文
03・びっくりした話
【ブログすごろく】新企画のおかげですより3マスすすむ。

【03・びっくりした話】

そりゃもう、びっくりした。
なんだか鉄臭いような気がしたのだ。
それで書斎のドアを開けた途端
むっとするようなにおいが押し寄せてきて
あたしの目をしばしばさせた。

またたきをひとつして書斎の中を見てみると
お部屋の真ん中にご主人様がうつぶせで倒れておられた。
床に赤黒い大きなしみができている。その真ん中に横たわってらっしゃる。
喉の奥に何か詰め込まれたようで気分が悪く、息が苦しい、
こめかみがきゅーっと熱くなって眼球が膨らんでいくような気がした。
目の奥に赤と青の光が明滅してこれはいけない、と思ったそのとき
何の拍子かひゅっと 空気が入ってきて今度はあたし、激しく咳き込んだ。
息を整えるともちろんあたしは叫ぼうとしたのだけど声がかすれて出ない。
どうにかこうにか途中から声を振り絞る。
「・・・・ぃぃやあああああああああああ!!!!!!!!!!」

あたしの悲鳴を聞きつけて執事のセバスチャンが飛んできた。
執事のセバスチャンはペロペロとアタシの顔をなめた。
執事のセバスチャンはもちろん犬だ。盛んにしっぽを振っている。(「執事の」は彼の苗字)
執事のセバスチャンになめられるうち次第にあたしは落ち着きを取り戻していった。
しきりに鼻先をあたしの股間に押し込んでくる執事のセバスチャンを押しのけて
ようやくあたしは書斎に足を一歩踏み入れたのだった。

ご主人様は昨日の夕餉のしめさばよりも完全に事切れておられた。
ご主人様の頬にそっと触れたあたしは、その予想外の冷たさに「ひっ」と声をあげた。
あたしを殊の外かわいがってくださったご主人様には本当に申し訳ないのだけど
再び触れてみる勇気はもう二度と湧いてこなかった。
まちがいはなかった。ご主人様は疑いようもなくお亡くなりになられていた。

目をしばたかせながら顔をあげたあたしはまたもやびっくりした。
書斎のデスクの向こう、白い壁いっぱいに血糊で書かれた何か・・・。
ダ、ダイイング・メッセージ?

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by midnight_egg | 2006-10-03 22:44 | 散文
【ブログすごろく】新企画のおかげです
新企画「第1回ブログすごろく」

この新企画のおかげで一家離散を免れ、夫は昇進、私はバストが3cmアップ、ウエストは9cmもダウン、おまけに身長が3mも伸びたんです。息子の容量は12ガロンアップ、娘の気圧は0.8ヘクトパスカル上昇、さらに気流に乗って瞳はエリーゼのように蒼くなりました。何もかも新企画さまのおかげと、毎日榊を欠かさないように神棚に祭っています。尚、これをお読みのみなさまは金運アップについて詳細をお知らせいただければ幸いです。GO!

■□■□■□■□■【ブログすごろくテンプレ】■□■□■□■□■
【ルール】
 投稿した記事のURLの下一桁をサイコロの目として進めていきます。
 前回の記事にTBして進めて行って下さい。
 100マスのすごろく盤を何日でクリア出来るか?!

 企画終了条件は
 100マスクリア出来るか、自分自身でドロップアウトした時です。
 詳しい企画内容や参加表明はこちらの記事から
 http://earll73.exblog.jp/4415044
 随時参加OKです。

 ※誰でも参加出来るようにこのテンプレを記事の最後にコピペして下さい。

 企画元 毎日が送りバント http://earll73.exblog.jp/
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

3マスすすむ
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by midnight_egg | 2006-10-02 11:27 | 散文
エロロン・クエスト
深い肩胛骨のくぼみ。
薄い胸板、「ルパンIII世」に出てくる人みたいな細い足首。
彼よりあたしの好みを具現化している男の子なんて
彼のあとにも先にもいなかった。


バイト先の休憩室。
「・・・オレ今レベル11・・・」
聞こえてきた会話に思い切って口をはさんだ。
「ドラクエ? あたしも今やってるよ・・・」
ひ、ひかれるかな。
「おお♪ 今レベルいくつ? オレなんかもう。毎晩平均睡眠時間2時間よー」
やった。なんとも軽やかな返事が戻ってきた。
「へえー。ゲームやるんだ、意外〜」
外野のオンナ、うるさい。
こちとらおまえなんかアウト・オブ・眼中だから。
「コントローラ握ったまま、うとうとしちゃうんだよね。
 あのさ、レベル11なら教えてほしいとこあるんだけど・・・」

ここにバイトに入って3日目のことだった。
なんとかつかもうとあがいていた会話のきっかけは
実にあっさりと手に入った。ドラクエさまさまだ。
バイトあがるのは私のほうが1時間も早いのに
休憩室でだらだらと時間をつぶして彼があがってくるのを待つ。
「おまえさあ、せっかく早くあがったのにまだいるの〜?」なんて
からかい口調ながら「危ないから送ってやる」
いい男だね♪ もとい素直よね。もちろんそれが狙いなのよ。
すべてはあたしの思惑通りに進んだ。拍子抜けするほど簡単だった。
初キスはもちろん、バイト帰りの暗い路上だった。
彼の部屋に上がり込むまで一週間。
「帰りたくない」と発言するまでそこから3日。
彼のすらりとまっすぐな足と骨張った輪郭は本当に素敵だった。
大好きよ。もっとゆっくり楽しみたかったけどな。
かなり駆け足でここまで来ちゃった。

攻略済み。

いつも。
いつもここまで来るとやっぱり残念だなあ、って思う。
もっとゆっくり。もっとじっくり。
彼とセーシュンすればよかったかなぁ、って。
ごめんね、あなたをターゲットにして。
本当に本当に誰よりも好みだったよ・・・。
これまでで一番。たぶんこれから先もずっと。

ごめんね。
心の中でつぶやくと、あたしは彼の愛撫を受け入れ、
そして獲物をしっかりとくわえ込んだ・・・。


*  *  *  *  *  *  *  *  *


ドラクエももうVIIIかあ・・・。
あれから何年経ったんだろう?
あたしはファミコンで「ドラクエ」をやってた頃と
まったく変わらない18、19の少女の姿を今でも保ってる。
もちろんファッションとかはその時々に応じて変化してるけど。
今でも相変わらずファミレスやコンビニのバイトを転々としながら
今日もあたし好みの素敵な男の子を探してるの。
彼を越えるような男の子をね。



恐ろしいことにこんな未公開テキストが転がっていたのを発見してしまった〜。
江場中祭りに闖入してみる」の原文なのだわ。アプしはぐってたのね。時事ネタだったけどむしろ、はっきりとずれてしまった今の方がかえって読みやすいみたい。なので、臆面もなく今更アップ。厚顔無恥。
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by midnight_egg | 2006-04-20 23:46 | 散文
ぬぐう
ようやく家に帰ってきました。
相方はすでにベッドで眠っているようすです。むー。
疲れたよー、と口の中でつぶやき、よー、の語尾に合わせてベッドの足元にバッグをぽんと投げ出します。
続けてあたし自身もベッドにぽんと倒れ込んでしまいたいところなのですが
そこはグッとこらえまして。なんとかティッシュの箱に直行しました。
えらいえらい。まずはがんばったね、あたし。
ティッシュを一枚抜き取って唇をぬぐいます。すでにはげかけていたのでしょう。
ティッシュには弱々しいピンクの筋がかすれ気味に残っただけでした。

重力が、重たいよー。

でも駄目駄目。ベッドに触れてしまったら本当アウトですよお。
朝まで眠ってしまうに違いないです。夢すらも見ずにどろどろと。
あたし、またもやがんばりました。
まるで食べ終わったポテトチップスの袋の底から残りカスをかき集めるみたいにして
身体の底のほうにわずかに残ってる気力のカスをかき集めました。
かき集めた気力を全て使って、ロボットみたいにぎくしゃくした動作でベッドに背を向けます。
だって。とにかくメークだけは落とさなくちゃ。でしょ?
よたよたと洗面所まで行き、鏡の前に立ちます。

で。

鏡を見たあたしは唖然としてしまいました。


なぜかって、鏡の中のあたしには唇がなかったんです。
というか口自体がなかったの!
口がないクセに「ぽかんと」としかいいようがない
間の抜けた表情で鏡のこちら側のあたしを見つめている鏡の中のあたし。

あ・ぜん。

見間違いかな、と目をこすります。
するとなんと。
今度はこすった側の目(右目)が消えてしまいました。

(ぎゃあ!)

あたしは声にならない叫び声をあげました(心の中で)。
なんせ口がないものですから発声することはできなかったのです。

いったい全体何が起こっているのでしょう?



落ち着かなきゃ。



まずは落ち着くことです。
パニック起こしちゃ駄目駄目、駄目駄目。さあ、数を数えて。
いーち、にいー、さーん、しいー、ごー、ろーく、しーち、はーち、くー、じゅう。
・・・ふー。(深呼吸)
ええと。あたしは今、何をしようとしていたのでしたっけ?
そうそう。早く寝たいからとにかくその前にメークだけは落とそうと。

とにかくメーク落とし!
あたしはメーク落とし用のウェットティッシュを一枚抜き取ると頬を拭きました。
そしてもちろん、その行為は更なるパニックをまねきました。
当然の帰着って言ってもいいのかしら?
今度は鏡の中のあたしの顔から右頬が消えてしまっていました。

実はこう見えてあたし、気が短いところがあるんです。
右頬までも失ったことですっかり逆上してしまったあたしは、
次の瞬間、どうとでもなれという自暴自棄な気分になって
ウェット・ティッシュで顔全体をこすってしまったのです。
どうしてこう、こらえ性がないんでしょうか?
やるだけやってしまってから後悔しても遅すぎますよね。
顔のなくなったあたしって自分では見えないんだけど、
推理するに銀河鉄道999の車掌さんの顔のような具合になってるんでしょうか?
いやいや、車掌さんの場合は目が光ってるだけましかも。
あたしなんか目もないし、目も見えないんだよー?

あー、疲れてるのになんなの、もー!
この理不尽に対する怒りをどこにぶつけていいのやらわかりません。
ひとつだけいいことがあるしたら、
もはや肌荒れのことなんか気にしなくてもよくなったってことだけです。
そうよ、もうメーク落とさなくてもいいんじゃないの?
だったら寝よう。寝ちゃおう。寝てしまおう。
あたしは乱暴に服を脱ぎ捨てて下着だけになると、文字通り這ってベッドにたどり着きました。
(だって何にも見えないんですもの)
手探りで同居人のとなりに躯をすべりこませます。

オヤスミナサイ。



・・・と。
あー、もしもし?

あたし今日はすんごく疲れてるんだからやめてくれないかなあ?
同居人の手が私の胸の辺りをまさぐってくるんです。
あ、ダメ・・・とか思ったのはつかの間でした。
あたしの乳首から彼の指の感触がふっと消えました。

・・・でもたぶん、

彼がやめたわけではないのです。
彼の指に触れられたあたしの乳首のほうが、もしかして。



・・・!
やめてぇ。


抗議しようにも声が出せないあたし。
彼の指は今やあたしを押し広げようとしています。
そして、あ、ん、

        と、

   思う、

間もなく、

       あたしの・中

               から

     彼のゆび

          の

  気配が
         消
          え
           て


               そして


あたしの

      中に 広がっていく 虚空・・・



            ・・・彼は、殺人犯



などでは アリマセンよ・・・って、誰にも言ってあげられない・・・


        あたし・・・

                     もう、消えますね





          バイ。

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by midnight_egg | 2006-04-01 00:20 | 散文
ポップアップ・ビーチ
ポップアートの海岸マグカップの明日にTB)

僕はクーラーボックスから

よく冷えたビールを二本取り出すと

ラベルの向きをきちんと揃えて白い塀の上に並べた。



それからリュックをあけて

ポップアップ・ビーチを取り出すと

よいしょ、と地面に押し広げたんだ。


僕の頭上に真っ青な空が広がって

真夏の太陽が照りつける。



白い砂も足の裏を焦がしてる。



僕は冷えたビールの缶を伝う

水の粒を人差し指でつー、とぬぐうと

プルトップをプシュッと開けた。



やっぱり夏はいいなあ。



一本目の缶ビールを、一気に飲み干した。



それから僕は、またリュックを開けて

今度は黒い犬を取り出した。



黄色いエア・ポンプで

シュコッシュコッと

空気を入れてすっかりふくらましてあげると

僕の犬は白い海岸を転がるように駆けだしたんだ。



僕はもう一缶ビールを開けると

口笛を吹いた。

でも犬は、僕のほうを見ようともしない。

波頭にキャンキャンと吠えついては

盛んに砂をほじくり返してる。


たぶん蟹かなんか見つけたんじゃないかな?

なんて思ってたら、犬の空気が抜けて

ぺちゃんこになっちゃった。


蟹だ、きっと。


僕は重い腰をあげると

ぺろんと地面に貼り付いた犬を拾い上げた。

砂をはらって、空気が抜けているところを

調べたけどよくわからない。

これは家に帰ってから補修しなくちゃだめだ。

僕はビールの残りを飲み干した。



それからポップアップ・ビーチを折り畳んだ。

海と白い砂浜と青い空が消えて

埃っぽい路地裏にたたずむ僕。



たたまれたポップアップ・ビーチは

折り目のところから裂けてきててだいぶくたびれかけている。

僕の夏もだいぶくたびれかけている。



犬と海岸をリュックにしまうと

僕は家路についたんだ。



書き割りじみた夕暮れの街を

ゆっくりゆっくりと



歩いて帰ったんだ。

えーっとね・・・(汗
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by midnight_egg | 2005-08-05 16:44 | 散文
ポモドーロ
ポモドーロ。

ポモドーロ、ポモドーロって
口の中で小さくつぶやいてみる。
舌の上で転がすように。
音がころんころんって舌の上を転がる。
ポモドーロ。


左足の親指の爪、真紅が少し剥げかけている。
やあねえ。
なんて思いながらまだつぶやいてるの。
ポモドーロ。


唇を湿らせて(口紅の味がした)。
またつぶやく。
ポモドーロ。


絶妙の語感だわ。


あたしは舌の上でじっくりと
ポ・モ・ドー・ロという音を転がして
じっくりとその語感を味わいながら・
足元に転がった・あなたの・潰れた頭をまたいで・

お台所へ向かったの。


グッバイ。
またね。



ポモドーロ。



-------------


アレな講評の応援記事にしようかと思って
だいぶ前に書いてた文。
ハズなんだけど今読むとどこが応援記事なの?
自分でもよくわからない。
アレのつもりで書いたんだろうかorz。

最初↓のポストにくっつけてみたんだけど、
やっぱりヘンなんで分けました。

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by midnight_egg | 2005-08-04 19:51 | 散文
溶ける
あんまりにも気持ちがよくて
もうとろけちゃいそうだと思っていたら、
彼があたしん中で溶け始めた。


中出しされたのかと思ったけど違ったみたい。
ほどなく中に入っていない部分の彼も溶け始めたから。

あたしの太股やお腹をなんだかなま温かいゼリー状のものが
ぬらりぬらりと伝い流れた。

ぎゅっとつぶっていた目を開けると
(あたしはいつもしてるときは目をつぶってるんだ)
彼がぐんにゃりと笑っているのが目に入った。
と、思ったけど違った。
彼の顔はぐんにゃりと笑ったまま
ぐにゃりと崩れ落ちた。

別に顔だけじゃなかった。
彼の全身がほぼ同時にぐんにゃりとゼリーみたいにやわらかくなって
それから自身の重さに耐えかねたようにつぶれ、
原型をなくしてどろどろと流れ始めた。

あたしは体中、どろどろぬるぬるして
中も外もぬるぬるで気持ちよくてもうどうしていいかわかんない
頭の芯がじんとなって意識がふわーんってしそうで、
キゼツしちゃいそうなくらい、キゼツするのって自分でわかるのかしら、
あー、もうジンジン、ジンジン、もうダメー、って思って。
(思っただけじゃなくて言ったかも、ダメーって。)

あー、イっちゃったー。
って思って。
それからじわーっと波が引くようにだんだん感覚が戻ってきて
それからちょっとじんじんしてきて
それでもしばらくぼんやりと余韻に浸っていた。


ぼんやりとずっと横になってると
人肌だったぬるぬるは次第に冷えてベトベトしてきて気持ち悪くなった。
体中とベッドがベトベトしたスライム状のものにまとわりつかれている。


シャワールームに向かいながら
あのベッドどーしたもんかなー、と思い悩んだ。
こんなことになるなんてわかっていたらホテルですればよかったんだけど。



あたしはシャワーで丹念に彼を洗い流した。



彼はどこに行っちゃったんだろうね?



彼もイったのかしら?

彼はいったのかしら?





ねえ、


彼はちゃんといったと思う?

inspired
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by midnight_egg | 2005-07-14 12:52 | 散文